ラジオ音声のサイマル配信について

 私がラジオ音声のサイマル配信を知ったのは東日本大震災の後でした。女川さいがいエフエムがNHKの番組で紹介されて聴きたいと思っていたらインターネットのサイマルラジオで聴けるということでした。でも、サイトを見ても聴き方が分からなくて聴かなかったような気がします。

 サイマルラジオに注目したのはニュースでは知ることのできない被災者の生の声を聴けると思ったからでした。被災地に限らず遠い地方の生の声を聴けるのがサイマルラジオの魅力でしょう。それを魅力だと思う人がどれほどいるか分かりませんが、民放ラジオ局の放送をインターネットで聴けるradikoのエリアフリーと違ってコミュニティFMのサイマル配信は無料で聴くことができます。radikoと違ってタイムフリーがありませんので聴き逃したら聴けないことが欠点ですが。

 ところで、サイマルラジオには二種類あるようで、ツイッターで「サイマルラジオで聴けますよ」と宣伝されてもサイトへのリンクを間違えていて「聴けない」と思ったことがありました。

・コミュニティ・サイマルラジオ・アライアンス(略CSRA)
 http://www.simulradio.info/
 http://csra.fm/
・JCBAインターネットサイマルラジオ(JCBA 日本コミュニティ放送協会)
 https://www.jcbasimul.com/
 https://www.jcba.jp/

 どうして2種類あるのか分かりませんが、サイマルラジオを聴き始めて当初はサイト間違いを招いて不便でした。
 それはともかく、ここではその2種類を一緒くたにして「サイマルラジオ」と呼ぶことにします。

 サイマルラジオは全国のどこでも無料で聴けることがメリットですが、コミュニティFMを放送している地元の電波が届かない所でも聴けるメリットもあります。コミュニティFMが地元住民の多くの人に聴いてもらいたいと思えばサイマルラジオで配信するのは当然でしょう。残念ながらいちはらFMはサイマルラジオで配信していません。電波が届かない所では聴くことができません。千葉県の他のコミュニティFM4局はJCBAインターネットサイマルラジオで配信しています。いちはらFMもサイマルラジオでの配信を始めるべきでしょう。そうでなければ、中継局を多数設置したりFMアンテナを配るなどして聴けない所を減らす努力をするべきでしょう。

 ラジオの電波が届かなくても聴けるサイマルラジオは強力ですが欠点もあります。
 まずはインターネットに接続していなければ聴けません。パソコンで聴く場合は停電していたら聴けません。パソコンだけでなくインターネットへの接続機器も電気が必要です。スマホならば停電していても聴けるかもしれません。でも電池の消耗が早くて長時間は聴けないでしょう。民放のラジオをインターネットで聴けるradikoも同じです。最近では「ラジスマ」と呼ばれるスマホが登場しました。

・ラジスマ | 民放ラジオ「ラジスマ」
 https://radisma.com/

 「ラジスマ」とはインターネットラジオ(radiko)とFM放送の両方でラジオが聴けるスマートフォンです。radikoでラジオが聴けるのにFM放送を聴けるようにする必要があるのでしょうか。「ラジスマ」のサイトには双方のメリットが書いてあります。それは、もう一方の欠点を指摘しているようなものです。
 インターネットラジオのメリットは次の通りだそうです。
  • 安定的に聴ける。電車の中でも音がきれずに聴けます。
  • エリアフリー聴取。今いる地域以外のラジオ局を聴取できます。
  • タイムフリー聴取。過去1週間以内の放送をさかのぼって聴取できます。

 一方、FM放送の方のメリットは次の通りだそうです。
  • 高音質音源。ラジオ受信端末とかわらないステレオ放送だから高品質音源です。
  • 音の遅延がない。スポーツ中継や災害情報などに最適です。
  • ネット環境がなくても聴ける。輻輳などにより、インターネットにつながりにくい時でも聴けます。
  • パケットを使わない。パケット通信料がかからず省電力です。

 電池の消耗のことが書いてないのかと思ったらFM放送の方のメリットの「パケットを使わない」の項目に付け足しのように「省電力です」と書いてありました。そうなんです。radikoやサイマルラジオのようなインターネットラジオで聴くよりもラジオの電波を受信してFM放送を聴いた方が省電力なのです。最近では避難所などにスマホを充電できるエリアを設けていますが、通話などで使えなくならないように電池の消耗を抑える必要があるでしょう。インターネットラジオをずっと聴いているわけには行きません。ですからFMラジオが必要なんです。すまわち、安定的に電波を受信できるようにすることが必要なんです。

 平時にはサイマルラジオなどインターネットラジオで十分でしょう。できるだけ多くの人にラジオを聴いてもらうためにコミュニティFMはサイマルラジオで配信した方が良いでしょう。でも、自然災害などの非常時には普通のラジオで聴けた方が良いです。もしも「サイマルラジオで聴けるからいいや」とラジオで聴ける場所を広げる努力をしていないとしたら、難聴取対策を怠っていたとしたら問題です。
 先日、こんなツイートを目にしました。

 記事を読んだら次のように書いてありました。

日々、ラジオ難聴地域改善のため、みなさまからのご要望を聞き、安心してラジオを聴ける環境を作っていきます。
必要に応じて、FMアンテナの設置(別途費用)など対応させていただいております。
島ッチュのみなさん!
台風や交通情報などの最新情報は、あまみエフエムをぜひお聴きください。
「わんも自宅でラジオ聴きたいっちょね~」 など、
自宅からラジオを聴きたいけど、なかなか聴くことができないという方は
あまみエフエムまでお問合せください!
簡単な調整などでラジオが入る場合がありますので
お気軽にご相談下さい。

 全国のコミュニティFMは見習った方が良いでしょう。