水岡のぶゆきの気ままにJazz紀行

 2017/9/22まで、いちはらFMに「水岡のぶゆきの気ままにJazz紀行」という番組がありました。私がいちはらFMを聴き始めた2015年には放送されていました。ピアニストで作詞・作曲も行っている水岡のぶゆきさんの面白いトーク番組でした。

 水岡のぶゆきさんが仕事の近況や予定などを話しているのですが、その話の中に嘘が混ざっていました。すぐに嘘だと分かる大嘘も混ざっていました。水岡のぶゆきさんのことを知らないリスナーが聴いたら本当のことを話していると勘違いしたかもしれません。でも、この番組ではディレクターと思われる人が水岡さんの話を相槌を打ちながら聴いていて、水岡さんが嘘を言った時には嘘であることを指摘していました。水岡さんの嘘はボケで、聴いている人がツッコミの役回りをしていたようです。そんな上手な聞き手がいたおかげで水岡さんは安心してボケられたようです。実は番組終了後のかなり後に別のラジオ番組に水岡さんがゲスト出演したことがあったのですが、「気ままにJazz紀行」のようなツッコミが無かったことで水岡さんのボケが殺されてしまったことがあります。面白いトークには上手な聞き手が必要なようです。
 もしも水岡さん一人で放送して聞き手がいなかったらどんな放送になったでしょう。水岡さんは演奏活動でもトークで盛り上げているようですが、ツッコミ役は観客でしょうか。他の楽器を演奏する共演者でしょうか。彼のライブを見に行ったことがないので分かりませんが、「水岡のぶゆきの気ままにJazz紀行」で仰っていたような気がしないでもありません。残念ながら忘れました。それはともかく、聞き手がいない番組だったらボケにくかっただろうなとは思います。ボケが少なければ面白さも減ってしまうことでしょう。

 コミュニティFMでは人件費を節約するためにワンオペになりがちかもしれません。例えば、いちはらFMの「元気なラジオ HyperWave」ではスタジオにいるのは一人だけで放送機器の操作もパーソナリティが行なっていました。2時間半の生放送を一人で喋らなければいけません。音楽やCMが入っているのでトークに使われた時間は1時間半くらいだったと思いますが、誰も聴いてないかもしれない状態でスタジオの壁を見つめて喋るのは大変だったと思います。「元気なラジオ HyperWave」はUstreamやYouTubeでライブ配信をしていたのでチャットで反応が得られることがありますが、反応が全く無い日もありました。そんな状態で面白い番組を作らなければなりません。トーク内容を考える十分な準備が必要だったでしょう。十分に準備をして面白いトークを放送したとしても誰も聴いていないかもしれないのに…。要するに、面白いトーク番組にしたければワンオペは避けた方が良く、せめて放送機器を操作する人が別にいた方が良くて、ワンオペにするのならリスナーの反応が見えやすいように工夫した方が良いでしょう。

 パーソナリティのトークだけで面白い番組にしたければ、面白いトークをする能力がパーソナリティに求められますが、そんな人には高いギャラが必要でしょう。トーク力が無くても、トークからパーソナリティの魅力が伝わればリスナーが増えるかもしれませんが、それも難しいと思います。逆にパーソナリティの欠点ばかりが目立つかもしれません。無知だったり、独善的だったり、乱暴だったり、人権意識が低かったり…。聞き取りにくい声で喋り続けるパーソナリティもいます。ですから私はパーソナリティが一人で喋るトーク番組があまり好きではありません。「お前の話なんか聞きたくないんだよ」と思う番組もあります。そんな番組は聴かなければ良いので、できるだけ聴かないようにしています。自分のトークで放送時間を埋めるよりは、自分の好きな音楽をひたすら流してくれた方が良いです。「ラジオの魅力はトークだ」と仰る方がいらっしゃったら、「それはパーソナリティしだいですよ」と返したいです。

 「水岡のぶゆきの気ままにJazz紀行」は珍しくトーク番組で面白いと感じた番組でした。いちはらFMの番組でしたが水岡のぶゆきさんは市原市の方ではありません。市原市に面白いトークができる方がいらっしゃったら、いちはらFMで番組を持ってほしいです。ただし、いちはらFMはギャラを出す気が無さそうですし、交通費も自腹なようで、放送機器の操作も自分でやらなければいけないかもしれません。それでもパーソナリティをやりたい人なんて、たぶんいないでしょうね。