和を以て貴しと為す?
パーソナリティとリスナーの仲の良さ、リスナーとリスナーの仲の良さ、それがラジオの魅力なのかもしれません。仲が良いと言っても、本当に仲が良い場合もあれば、仲が良いかのように錯覚できるだけの場合もありそうですが…。でも、私は…。
ラジオ番組では番組中にリスナーからのお便りを読むことがあって、お便りが読まれるとリスナーは嬉しいようです。それでリスナーはパーソナリティに近付いたような気になるのかもしれません。嬉しいから何度もお便りを出して、リスナーによっては何度も読まれて、パーソナリティに名前を覚えてもらえる。それでリスナーはパーソナリティのことが好きになって番組も毎回聞くようになる。それは良い循環かもしれません。
お便りが何度も読まれる常連さんのことは他のリスナーも名前を覚えるようになって、お便りが面白いと、その常連さんのお便りを他のリスナーも楽しみにして番組を毎回聴くようになる。常連さんは一人だけではなく何人もいて、その常連さんどうしも仲良しになる。それも良いことかもしれません。
パーソナリティや常連さんのことが好きになると会いたくなる。公開放送だと見に行ったり、リスナーが集まるオフ会があると参加する。そうやって、パーソナリティやリスナーがますます仲良しになる。それも良いことなのかもしれません。
でも、私はそんな仲良しグループが苦手です。
パーソナリティと仲良くなること、他のリスナーと仲良くなることは嬉しいです。仲良くなりたいです。でも、オフ会には参加したくないし、常連さんにもなりたくないし、お便りを出さないサイレントリスナーのままでいたいです。
そもそも私は「楽しい雰囲気を壊さないようにする仲良しグループ」が苦手なんです。そのグループでは楽しい雰囲気を壊すことが悪いことになります。楽しい雰囲気を壊さないようにすることは良いことのように思えますが、壊さざるを得ない時は必ずあります。価値観の異なる人が本音を出し合えば対立が生まれます。そんな対立が生じないように、楽しい雰囲気が壊れないようにすると本音を出しにくくなります。グループの誰かが言ったことに「それは違うんじゃないか」と思っても反論できなくなります。そして反論して楽しい雰囲気を壊した人には冷たい視線が向けられます。それが嫌なんです。
例えば、誰かが「若い頃はやんちゃしたな。レイプしたことがあってさ、気持ち良かったな。普通にセックスするより気持ちいいんだよね」なんて言って聴いた人たちが一緒に笑っていたりしたら、一緒に笑えますか。笑えませんよね。そんなことを言った人に対して怒れますか。怒らなければいけませんよね。そんな極端なことはないでしょうが、セクハラがあったり、いじめがあったり、障害者やマイノリティを馬鹿にする言動があったり、外国人などに対するヘイトスピーチがあったりしたら、ちゃんと怒れますか。楽しい雰囲気が壊れると思いますが、ちゃんと怒れますか。そんな時に怒れなくなるのが「楽しい雰囲気を壊さないようにする仲良しグループ」なんです。
常連さんになってもオフ会に参加しなければ、「楽しい雰囲気を壊さないようにする仲良しグループ」で嫌な思いをしないかもしれません。でも、最近はツイッターやチャットなどで生放送中に「楽しい雰囲気を壊さないようにする仲良しグループ」が作られたりします。そこに参加したくないからサイレントリスナーでいたいんです。パーソナリティや他のリスナーの言ったことに問題があったら、言っていることが間違っていると思ったら、それを指摘したい。「それはダメですよ」「間違ってますよ」と言いたい。でも、楽しい雰囲気を壊せないから言えないんですよね。言えないからストレスが溜まります。言って楽しい雰囲気が壊れても気を使うことになってストレスが溜まります。そんなのは嫌です。
ラジオの魅力は本音を言ったり聴いたりできることかもしれません。それならば楽しい雰囲気が壊れるかもしれないけれど本音で意見をぶつけ合いたいです。間違っていると思ったことには間違っていると言いたいです。その上で皆が仲良しでいられる。そんなラジオ番組だったら、私も常連さんになりたいです。パーソナリティや他のリスナーと仲良くなりたいです。オフ会などでも会いたいです。
2020-11-13 23:49