コロナ禍で求められている情報を伝えているか?

 いちはらFMではコロナ特番が放送されているようです。パーソナリティは大澤和子さんで、1週間くらいの間隔で放送内容を更新して、前回の放送からの千葉県や市原市の感染者数の増加人数などを伝えているようです。


 阪神淡路大震災からでしょうか、東日本大震災からでしょうか、自然災害が起こった時にコミュニティFMの役割が注目されてきました。新型コロナウイルスの感染拡大も自然災害の一つだと思います。コミュニティFMで何らかの情報を伝える必要があるかもしれません。では、どんな情報を伝えれば良いのでしょうか。台風や豪雨が近付いている時には避難先などを伝えることが必要でしょう。避難の判断材料になるように今後の降水量や川の水位の変化を伝えることも必要でしょう。道路の冠水や洪水、土砂崩れが起こった時にはその情報を伝えることも必要でしょう。津波の時には間に合えば避難を急がせる情報を伝えることも必要でしょう。地震の時は被害の状況や避難先の情報が必要かもしれません。新型コロナウイルスの感染が広がっている今はどんな情報が必要でしょうか。
 台風や豪雨の時の避難情報のように新型コロナウイルスの場合も被害に遭わないように感染を防ぐための情報は必要でしょう。では、台風災害や豪雨災害が起こった後に必要な情報はどうでしょう。地震や津波が起こった後も同じです。被害に遭わないための情報ではなく、被害から回復するための情報が必要なのではないでしょうか。自然災害の後は様々な支援策が発表されます。その支援策の情報が多くの人に伝わるように様々な手段が使われます。ラジオも役立つでしょう。コミュニティFMなら大手のラジオ局では伝えきれない地元の情報を伝えることができるでしょう。では、コロナ禍と呼ばれる新型コロナウイルスが広がってしまった今はどんな情報が必要でしょうか。
 地震や津波、台風や豪雨は数カ月も続くことはありません。それに対して新型コロナウイルスの感染拡大は半年以上も続いています。一年、二年と用心しなければいけない日が続くでしょう。だから感染しないための情報をリスナーに伝え続けることは必要かもしれません。しかし感染しないための情報は限られています。同じ情報を毎日毎日一年も二年も繰り返せば良いのでしょうか。リスナーは耳にタコができるくらい聞いていて、ほとんどのリスナーが知っている情報です。コロナ禍で変化するのは感染者数の数くらいですが、その感染者数の情報が何の役に立つのでしょうか。
 地震や津波、台風や豪雨災害の後に支援情報が必要なのように、コロナ禍でも支援情報が必要とされています。次々に新しい支援策が生まれ、既に発表された支援策も次々に更新されています。全ての支援策を把握している人はほとんどいないでしょう。自分の役に立つ支援策のことを知らない人がたくさんいることでしょう。支援策の存在を知っていても、支援を受けるために何をしたら良いか分からない人も多いでしょう。自治体によって支援を受ける方法が異なります。たとえば問い合わせ先は自治体によって異なります。そのような支援策の情報をいちはらFMのコロナ特番では伝えていないのではないでしょうか。

 伝えるのに慎重でなければいけない情報もあります。
 福島第一原発の事故の後、放射能の怖さが伝えられました。放射線を浴びないように、放射性物質が付着しないように、体内に入れないようにどうしたら良いか伝えることは必要でしょう。一番の対策は放射線量が低い所まで逃げることです。どの程度低い所まで逃げたら良いのか、被災者の間で判断が分かりました。遠くにいる傍観者の間でも判断が分かれました。「自主避難」する人が表れると、避難する必要が無いと考える人と避難するべきだと考える人との分断が生まれました。お互いを非難するようになりました。コロナ禍でも原発事故の時のような分断が生まれています。徹底的に用心して感染の確率をゼロにしたい人とある程度のリスクを許容する人との分断が生じています。徹底的に用心している人たちは集団感染の現場にいた人達を非難しています。感染した人のことを「用心が足りなかった人」と心の中で非難していないでしょうか。感染した人も感染したくなかったけれど感染しそうな場所に居なければいけない事情があったはずで、その事情の重要性は人それぞれです。自分にとって不要不急のことでも、それが不要不急では無い人もいるはずです。そんな事情を知ろうともせずに感染した人を非難する。それは避けなければいけません。そして、感染者に対する非難を助長するような言動も避けなければいけません。いちはらFMのコロナ特番は大丈夫ですか。

 さて、いちはらFMのコロナ特番が市原市民の役に立つ情報、市原市民に求められている情報を伝えていたとしても、大きな問題があります。それは、そのコロナ特番が放送されている時間をほとんどの市原市民に伝えていないということです。伝えても電波が届かなくて受信できない人もいるでしょうが、その問題は前に書いたので省略することにして、いちはら市民にはコロナ特番の放送時間を知る手段が一つしかありません。その手段は毎日一日中いちはらFMを聴いていることです。そんな人は全くいないでしょう。大手テレビ局や大手ラジオ局であれば新聞の番組表を見れば知ることができるでしょう。大手でなくても、ほとんどのテレビ局やラジオ局はインターネットで番組表が見られるようになっています。そして、いちはらFMでもホームページに番組表を載せています。2020/11/10の午後8時に確認した番組表は次の通りです。クリックすれば原寸大表示されます。


 どこにもコロナ特番が載っていません。それどころか、2020/6/30で終了した「元気なラジオ HyperWave」が載っています。「いちはらFMワイド」も2020年の6月に終了しています。他にも終了した番組が幾つも載っています。この番組表は4カ月以上も更新されていないのです。番組表に載らずに始まって番組表に載らずに終わる番組もあるかもしれません。いちはらFMの番組表はそんな感じです。こんないい加減な運営で良いのでしょうか。

 いちはらFMが市原市民にとって役立つラジオ局になるためには、抜本的な改革が必要かもしれません。