注文の少ないレストラン

  2019年9月に千葉県を襲った台風15号(令和元年房総半島台風)の後、いちはらFMの「元気なラジオ HyperWave」に送ったメールに載せた短編小説(ショートショート、童話?)です。

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「注文の少ないレストラン」
都会と田舎の境目に小さな小さなレストランがありました。
嵐が通り過ぎたある日、店長は特別な料理を用意しました。
「メニューはこれだけだけど美味しい料理ができた。この機会にたくさんのお客に来てもらおう」
店長は張り切っていました。料理は無料です。
新しい料理を作ったがんばっているお店としてテレビのニュース番組でも紹介されました。
「テレビを見たよ」
お友達に声をかけられて、店長はニコニコしていました。
テレビで紹介された次の日、店長は大皿に盛られた料理の前で客が来るのを楽しみに待っていました。
テレビのおかげか、客はたくさん来ました。
でも、店長は客を見ることができません。見えなかったのです。
だから、たくさんの客が来ても分かりませんでした。
ほとんどの客は料理を一口食べると何も言わずに帰ってしまいました。
ひとこと言って帰る客もいました。「不味いな」「美味しくない!」
店長は客の声を聞くことはできました。
客の声は店長が望んでいたものではありませんでした。
店長は怒って見えない客に向かって叫びました。
「がんばって作ってるんだ。文句を言うな!」

やがて、そのレストランはいつものメニューに戻りました。
客はたくさん来ているのでしょうか?
客の姿は誰にも見えません。でも声を聞くことはできます。
店員も料理を注文する客の声を聞いていました。
その声はいつも同じで、嵐の前からいた常連客だけでした。
おしまい。
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 この他に「白いもやもや編」「無銭飲食編」「旅人編」も書こうと思っていたのですが、メールに載せた「嵐の後編?」をラジオで読まれた時に面白くなさそうだったし、聴いていた私も面白いと思えなかったので書くのをやめました。
 この小説を書いたのは2019/9/19でした。2019/9/17の「元気なラジオ HyperWave」を聴いた直後に生じたもやもやした気持ちを昇華するために書いたものでした。当時、いちはらFMは台風15号による長時間停電と機材トラブルで通常のスタジオから放送できなくなっていました。本社スタジオだけでなく停電が解消された五井のサンプラザ市原にあるサテライトスタジオからも放送できなくなっていたようです。臨時で市原市役所旧庁舎にスタジオを用意してそこから放送していました。2019/9/16にはNHKが取材に来ました。


 TBSラジオの番組「荻上チキ・Session-22」からも荻上チキさんが取材にいらっしゃったようです。(NHKの取材の翌日の9/17かもしれません)

【音声配信】「台風の影響で停電がいまだ続く千葉県の市原市と山武市~荻上チキの取材報告」9月17日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)
https://www.tbsradio.jp/410537

 実は、NHKが取材に来た日、いちはらFMの音声はちゃんと聞こえてなかったらしいです。


 私のラジオでは聞こえていたので気にならなかったのですが、ステレオ受信ではなくモノラル受信にしたらパーソナリティの声はほとんど聞こえなくなりました。


 NHKの人や荻上チキさんはカーラジオなどでいちはらFMを聞けたのだろうか。パーソナリティの東江舞夏さんはリスナーに支援情報など市原市民が必要な情報を伝えようと頑張っていたので、彼女の声はほとんどの市原市民に届いていなかったと思うので残念です。
 その後はいちはらFMのスタッフがトラブルに気付いたようで機材の調整をしていたようですが、翌日の「元気なラジオ HyperWave」でもトラブルは続いていました。

 ひとりネズミ(@hitorinezumi)/2019年09月17日 - Twilog
 https://twilog.org/hitorinezumi/date-190917/allasc

 リスナーからの情報が無いとトラブルに気付けないと思って、私は当時のパーソナリティの綾瀬愛海さん宛にツイートしたり、#いちはらFM を付けてツイートしたりしていたのですが、突然、社長がラジオで怒っちゃったんです。私のツイートを見てではなく、他のリスナーからメールや電話で苦情が届いていたのかもしれませんが、頑張っている自分を否定されたように感じたのかもしれません。前日のNHKニュースでいちはらFMのことを知った人が多そうですから、ちゃんと聞こえなかったら苦情は来ていたでしょう。
 社長がラジオで怒った後、その社長の態度にもやもやして吐き出したくなったので、小説にすることを思いついて「注文の少ないレストラン」を書きました。
 「注文の少ないレストラン」の「レストラン」とは「いちはらFM」のことです。「注文の少ない」とは「リスナーからのお便りが少ない」ということです。料理が無料なのはラジオ番組を聴くのは無料だからです。店長や店員が客の姿を見ることができず声しか聞こえないのは、パーソナリティなどラジオのスタッフはリスナーの姿を見ることができず、お便りなどで感想を聞くことはできるからです。嵐の後の経緯は臨時のスタジオを設置したことやNHKの取材があったことを参考にしました。風刺のような小説だったのですが、ラジオで読まれた時に気付いたリスナーはいたかな?